今回はプログラムに関しての記事を書く予定でしたが予定を変更してお送りします。
というのもSDカードのSPIモード書き込みが低速すぎてデータの保存が追いつかないという状況。
高速なSPIモードを持つSDカードを探しているところです(たぶん、大手メーカーの国産品であればいけると思われる)。
プログラム的には完成しているのですが、そんなわけで動作確認が不十分なのでパスします。
代わりに気圧センサを使って新幹線の車内気圧を測ってみました。

はじめに

年末年始は特に新幹線に乗る機会が多くなると思います。
新幹線に乗っていると、トンネル突入時に耳に違和感を覚えます。
これは外耳と中耳に気圧差が生じるために起こる現象(耳ツン現象とも)で、トンネル突入時に車内の気圧が変動するために気圧差が生じます。飛行機に乗ったときも同じ現象が起きます。
では、いったいどのような変化が起きているのでしょうか。
 

準備

前回作ったロガーの気圧センサを用いて測ります。
センサデータの保存は前述の通り、ロガー側のSDカードでは問題があるため別の方法で保存します。
まずロガーからスマホへBluetoothでセンサデータを送り、スマホ側のSDカードで保存します。
データはこんな感じで送られてきます。(今回は気圧・温度・湿度データが送られてくる。)
受信データ
 
スマホはXperiaを使っているのでAndroidアプリを作ります。
AndroidアプリはJavaを使ってサクッと書きました。
アプリ
気圧・湿度・温度データをそれぞれ表示します。
ロガーから送られてくるデータは生データなので、それぞれの単位系に合わせて変換し、表示しています。
スマホで取得できるGPSデータも一緒に保存することにしました。
GPSで取得できるデータは下段の値で、緯度・経度・確度(精度)・高度・方位・速度です。

ちなみに温度データは気温というよりも機器内部の温度になります。
機器内部と外部でほとんど空気の出入りがなく(気圧計測用の穴は開いている)、長時間駆動すると部品の熱で内部温度が上昇してしまうようです。
気圧センサは温度校正がされていると思うので、おそらくそれほど影響はないと思いますが、あまり良い状態ではない気がします。
 

測ってみる

では実際に新幹線に乗って測ります。
計測したのは東海道新幹線、新富士駅~掛川駅までの区間。
こだま号、車両はN700系。
N700
ちなみに実験時の気象庁アメダスによる海面更正気圧は以下の通りです。
静岡 1015.2 hPa
三島 1015.4 hPa
御前崎 1015.9 hPa
浜松 1017.4 hPa

まずは新富士駅~静岡駅の区間。

次に静岡駅~掛川駅の区間。(こちらは音がありません。)

計測した結果からトンネル突入時にかなりの気圧変化が起こっている事が分かります。
高度変化の影響も含まれているかもしれませんが、これだけ気圧が変化しているとなると、耳に違和感を覚えるのも当然でしょう。ただ、気圧変化は急激に起こるのではなく、徐々に変化しています。
どうやら車両側で気圧調整をしているようです。詳しい資料が見当たらないので具体的に何をどうやっているのか分かりませんが、何らかの調整の結果、緩やかな気圧変化になっているのだと思います。

画像でも確認してみます。
気圧・高度の関係
気圧・高度

気圧・速度の関係
気圧・速度
(注:上の二つのグラフの横軸は時間ではありません。横の長さと時間的縮尺は無関係です。)

画像から概ね高度が下がれば気圧が上がっているような気がするが、GPSの高度計は当てにならないので信用しない方がいい。
気圧がギザギザになっている部分がトンネル。

【2014/7/12 追記】
今更、この記事を見返していると、とんでもないアホな勘違いをしていたことが分かった。
これは恥ずかしい/(^o^)\ナンテコッタ
なので、今更ながら修正した。
 

あとがき

ということで、データロガーを実際に使って見ました。
電池駆動で、そこそこの大きさということもあり、色々な所に持って行くことができます。なかなか利用価値がありそうです。
ちなみに気圧センサは校正していない、センサ出力そのままのデータを載せました。
別の日に気象庁が公開しているアメダスの海面更正気圧を使ってセンサの校正を試みました。その結果、-8hPaのオフセットをかけるとだいたい正しい値になるようです。あれ?大きすぎる気がする……。

たぶん、つづく

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【配布】
誰得。実際に取得したログデータを公開します。
一つはCSVファイルで
緯度・経度・確度(精度)[m]・高度[m]・速度[m/s]・気圧[hPa]・気温[℃]・湿度[%]・時間[mm:ss fff]
のデータ順になっています。時間は携帯電話から取得した時間でGPSのものではありません。
もう一つはGPXファイルで、CSVの走行データをGPXに変換しただけのものです。
GPXファイルはGoogle Earth・Google Maps・ルートラボ(Yahoo! JAPAN)等で利用できます。

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【参考文献・サイト】